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butterfly 【3】講演「玉手匣を開いて ー 大江山酒呑童子から天橋立へ」《その2》

こうして、3つのシリーズのスタンスの謎解きから始まった講演。

本当に時空を翔びました。史実や理論から、思いがけない、見えないものとの対話、母神からの言葉、までも。

「〜玉手匣を開いて〜」の講演の最後を飾ったのは…母神の言葉ではなく、オヤジ…こと菅公でした。

文官の国家試験で出題された ”魂魄を徴(あらわ)せ” という問いに、輝き、生き生きと動き止まらぬ魂には「智」すなわち識がある…と始まる菅公の答案。

本来、宇宙の理と一体で生き生きと限りなく自由である魂が、時とともに束縛され、輝きも自由も失われてしまった。それを解き放つ調和の方法は、手の中にある。

魂魄を徴せ

魂魄を徴せ

『陰陽師』巻十三
「三國相傳陰陽管轄 簠簋内傳金烏玉兎緑玉碑文
十八 結」より

このイベントに先立ちまして、京都市内のご挨拶回りに入洛した折、北野天満宮に参拝していました。その時摂社の一つ、「白太夫社」に目が留まりました。

御祭神は渡会春彦。御神徳は子授けの神。伊勢神宮の青年神官渡会春彦は、道真公の父に託されて豊受大神宮に祈願。菅公は豊受大神の申し子だったのです。

私は菅公の、この答案がとても好き。初めて読んだ時から忘れられない言葉でした。

「玉手匣を開いてー」。それぞれの心の中にある玉手匣を開いて、それぞれ本来の、宇宙の中にたった一つのユニークな魂の輝きを表に出す。調和の方法は手の中に。最後にはぴったりです。お話できてよかった。

講演中のたくさんの窮地も、皆さん優しく楽しみながら聞いてくださいまして、どうもありがとうございました。

また、このイベントのための会場準備や、画像映写のお手伝いをして下さいました皆さん、記念の集合写真や記録写真を撮って下さいました、晴明神社広報室様、和歌山から応援に駆けつけて下さいました◎丹生都比売神社の宮司様ご夫妻、参加者全員での正式参拝をご快諾くださいました京都晴明神社の山口宮司様、境内の大楠のお話をしてくださいました奥様に、この場をお借りしまして御礼申し上げます。

そして、参加したくてもできなかった皆さん。その場に立ち会いたかった。と思われる方も、どうぞ。今、いらっしゃるところから、完結と統合を祝い、晴明公に手を合わせ、みなさんの心を届けてください。ん、大丈夫。届きます。

心は、時間や空間を越えられますから。

そして、みんなで、自分だけの玉手匣、開きましょう。

最後に、展示物のことで一点、補足させてください。

会場に展示した、原寸大原稿のコピー。これは、この日皆さんにお見せしたい、と思ったシーンを任意に選び、男性的なシーン、女性的なシーンと分けて、合計を数えたところ、奇しくもぴったり50枚50枚、計100枚でした。

おお、これで決定!と思ったその時、不思議な揺れの地震が起こりました。緩く長めの揺れで、気になってすぐ震源地を確認したところ、震源は茨城県北部、福島第一原発の近くでした。それを見て、はたと、今回京都に持って行こうと用意しながら展示物の中に入れ忘れていた一枚を思い出しました。

その、101枚目は、『玉手匣』第2巻第6話「若子、東寺において弘法大師の遺響を学ぶ その二」の二ページ目。福島に捧げられた、血の涙を流す、不動明王でした。

丹生都比売神社鳥居の稚児柱

会場では、この絵の詳細には触れませんでしたが、2012年に隔月刊の『湧』(◎地湧社)誌からこの絵に関わるインタビューを受けていますので、ここに記事の再録の許可を頂きました。『玉手匣』の根底に流れるもの。今回の講演のテーマにも通ずるもの。このインタビューからまた別の方向にも広がることと思います。お時間のある時に目を通していただけましたら幸いです。

◎いのちの水は足もとにある

◎クリックでインタビュー記事「いのちの水は自分の足もとにある」を表示します。ご覧のあとはウィンドウを閉じてください。

さて、西陣織会館でのイベントが終わった翌日。

私たちは皆さんから受け取ったエネルギーをお共に、丹後から、若狭への御礼参りに旅立ちました。

同行してくださったのは、『陰陽師』で若狭〜天橋立への取材の旅に同行してくださった友人楽師と、『玉手匣』取材時に天橋立〜若狭へと同行してくださった作画スタッフ。と、まるでロールプレイイングゲームのように、西陣織会館で皆さんから授けられた、お酒、お菓子、指の節サイズのちっちゃい「ぴよ笛」。 それらを手に、両作品、縒り合いの旅ともなりました。

この旅は、行く先々で収めた美しい風景をフォトブックに用意しました。

どうぞ私たちの行程と一緒に、清らかな天橋立や由良の浜、若狭のエネルギーを画像からお受け取りください。