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雄勝法印神楽復興支援金活動の終了

2011年4月23日、東京都中野区なかのZERO小ホールにてシンポジウム「シャーマニズムの未来 〜見えないモノの声を聴くワザ」が開かれ、岡野玲子は、この日お集まりくださいました皆さんから、雄勝法印神楽の復興支援金250,503円の寄付をお預かりいたしました。

当時、3月11日の震災からわずか一ヶ月。法印神楽の本拠地である葉山神社は津波で大破し、面や装束、道具のほとんどは流失、神楽師の皆さんは避難生活をされていました。

地元の金融機関も被災していましたので、「雄勝法印神楽復興支援金」の窓口口座が設置できたのは、それから2週間のちの5月10日のことでした。翌5月11日、皆様の復興を願うお心のエネルギーを保てますようにと、神棚上にて大切にお預かりしていた支援金全額を振込むことができました。

その後、公的な補助金、有志の手助け、神楽の復興を祈る方々、企業からのご寄付も復興支援金窓口と事務局に寄せられ、神楽舞台を始め、面、白衣、装束、小道具など、神楽道具の基本的な物が次々と復旧されていきました。

多くの支援金が寄せられたとはいえ、復刻されたほとんどの面は神楽を愛する地元出身の有志の面打ち師の方によって作られ、装束や帯、頭につけるザイなどから太鼓のバチや大道具の龍まで、手で作れる物は全て神楽師さんたち自らの手作りです。生業の合間を縫って神楽復興に打ち込まれ次々と奉納できる演目を増やして行かれました。

地元の皆さんの神楽への愛と町全体の復興への願いもあって、震災その年の秋の鎌倉宮での奉納公演を最初に、地元雄勝の春秋のおまつりはもちろん、神楽を公演される機会は各地方に広がり、2014年にはロシア公演の遠征もありました。

そして遂に2015年9月19日、本拠地である葉山神社のご社殿が竣工され、竣工奉祝祭で神楽全24番が奉納されました。

廃絶されていない、神楽の演目24番すべてを舞う道具が調い、新たな神楽の担い手の若手の皆さんも加わって、3日間にわたってつつがなく全ての演目が、神様と、集まられた雄勝の皆さん、神楽を愛する皆さんを前に奉納されました。

この大きな機を節目に「雄勝法印神楽復興支援金」の募金活動の終了のご報告をいただきました。

ご報告をいただいたのは、秋分の日でした。

2015年の、特別な日に、さらに特別なお知らせをいただいたように思いました。

シンポジウム「シャーマニズムの未来」で多くの皆さまから寄せられた支援金をお預かりした時、岡野は青ざめました。

皆さまからお預かりしたお金には皆さんの復興を願う力が宿ります。そのエネルギーの何一つを欠けさせてはいけないし、穢してもいけない、希望の光を届ける役目と感じましたから。それと同時に、みんなが、各々ができることを少しずつ請け負いながら、一緒になって助け合って復興して行くんだよ、という声も心の中に聞こえてきました。

2015年の大晦日、4年前の「シャーマニズムの未来」の日に皆さまから授かった、復興を願う支援金という光の種が助力の功をなして、「雄勝法印神楽」の復興が叶えられたことを、支援金を託してくださった方々、神楽の復興を一緒に見守ってくださった方々、神楽ファンの皆さん、来訪してくださったファンの皆さまにお伝えできるのはとても嬉しい限りです。

そして皆さんが贈った復興を願う光の種の本番は、これからのように感じています。

復興した「雄勝法印神楽」。

御還座祭に顕われた優しく輝いて揺るぎない神さまと、共に復興を果たした葉山神社を拠点に、神楽を奉納し、舞いながら、

故郷から遠く離れ離れに暮らす人々の心の絆を結び、震災の大きな爪痕を残す雄勝の地と雄勝を想う人々の心を結び、

地域の復活のための光の種、いっぱいにいっぱいに増えた光の種を撒いてゆかれるのだな……

そう感じています。

まだまだ、一緒に応援していきたいと思っています。

2015年12月30日

岡野玲子

復興橋引