この夏はあちこちの連載をお休みしておりますが,続きを楽しみにしておられる読者の皆さま,ごめんなさい。たまには休みませんとね,星回りも星回りですし,「こんな仕事場で仕事ができるか〜」と,前回連載を落としたいくらいに乱れに乱れていた仕事部屋も片づき,数日に渡る発掘作業の成果
もあり,おかげさまで数年ぶりにデスクの表面にお目にかかることができました。ああ,さっぱりした。
さて,まず,6月13日の『陰陽夜話』に来て下さった皆さん,7月14日の『コーリング』発売記念サイン会に来て下さった皆さん,どうもありがとうございました。
『陰陽夜話』では,鼎談のほかに楽器の演奏も持ちかけられ,それはやはりね,ある種の決意がなければ受けられませんのよ。
数学と音楽と天文,これらも陰陽道の大切な一面でありますから,そういう綾を解って自ら探求しながら音楽を演奏されている宮田まゆみさんには,音律についてのお話や,普段は他の楽器に隠れて全容が見え難い笙(しょう)の調子をソロで演奏していただき,皆さんにお聴かせできたのはシアワセですね。また,何をなげうっ
てでもやはりめったに耳にすることのできない,古来からの日本特有の音である和琴の音も,生で聴かせて差し上げたかったのですね。
なにしろ,身体を持って存在する以上,体験に勝る宝はございません。
二晩続けての『陰陽夜話』は,多方面にわたる陰陽道を見ることができて,とても面
白かったのではないでしょうか。
ところで,獏さん宮田さんとの鼎談の中でピタゴラス音階……ヨハネス・ケプラー云々という会話が出てきて,何のことやら……と,困惑された方がおられるかもしれませんが,このお話と,五芒星につきましては(私はこのカンパニーの営業ではありませんが)ディズニーのVTR,私の大好きな『ドナルドの算数マジック』がとても参考になることと思います。
さて,6月22日に7年ぶりにマガジンハウスより復刊した『コーリング』はいかがでしたか?
カバーの校正刷りを初めて見たときに,デザイナーの祖父江さんが選んだ3巻そ
れぞれのキャラクターにあった地の色に驚きましたが,(黙って隠していても祖父江さんには何でもばれてしまうのです)2000年の夏至の日に,表紙に「イシス表」をあしらっての復刊となるのも何かの共時性を感じますね。
というわけで,7月14日のサイン会は「日・月」と,「将に星を射んとする矢」がテーマでした。この謎解きは現在連載中の『陰陽師』の中で明かされていくのではないかと思っています。
このサイン会の後,マガジンハウスの辰年生まれの編集者と祖父江さんと私の三人で3巻それぞれにサインをし,龍の割り印を施したワンセットが誕生し,三人それぞれに合った巻を一冊づつ所持することになりました。
取材旅行で中国に旅立つ前にこのコメントを提出してゆく予定でしたが,またしても遅れてしまいました。なにしろコンピュータには不慣れなもので……。この休みの間に仕事場のコンピュータも発動し始めましたが,トラブルが起こるとそこで作業がストップしてしまいます。でも,このコメントはなんと,ViaVoice(IBM社の音声認識ソフト)を使っているんですよ。こうして私はコンピュータに語りかけ,ViaVoice使いになってゆくのですね。
中国旅行は,なんと寝台車で大陸を横切り一晩を過ごすという行程があり,それはまるで巨大な蛇の腹の中に入って移動していくようで,頭と足の方に代わる代わるGがかかりなかなか面
白い体験でした。
(中国内陸の列車移動は,ツアーか中国旅行に慣れた人と一緒でないと危ないので,真似はしないように)
日本へは,竜巻の起こった日に帰国しましたのよ,ウフフッ。
9月には休んでいた連載が2つとも始まります。また,マガジンハウスの『鳩よ!』ではかなりコアな岡野の特集が組まれます。その中では荒俣宏さんや,鏡リュウジさん,芝祐靖さん三氏との対談のほか小松和彦さんに宮田まゆみさん,田中貴子さん他のエッセイも載せられ,大変内容の濃い特集号になりそうです。
10月には,小学館でのデビュー当時に掲載された『妙技の報酬』のシリーズと,トラック野郎と茶道の家元の若宗匠との絡みを描いた『走れ!家元』が一冊にまとめて収録され,プチ・フラワーコミックスとして発刊されます。
また私は作業の日々に戻りますが,ファンレターや趣向を凝らしたプレゼントを送って来てくださる皆さまにこの場にて御礼申し上げます。どうもありがとう。思いがけないねぎらいを大変有り難く思っております。
もうじきこのサイトも美しいビジョンをふんだんにそろえて本格オープンいたしますので,どうぞお楽しみに。