対談:橋本一子×岡野玲子


月刊メロディ11月号◎
掲載分表紙
OKANO

一子さん,『陰陽師』できたてのコピーです。
(注:月刊メロディ11月掲載『安倍晴明 建禮門の前で 安摩を舞うこと』)

ICHIKO

ああ,嬉しい!…美しい。

OKANO

今まで20年描いてきて色んな人に色んな作品で「岡野さん,作品佳境ですね」って言われてきたけど,ずっと自分で「…佳境かっ?」って思ってたんです。
でも今回は描いてて…これは…佳境だ…って自覚がありますよ。

ICHIKO

いや,美しいよ。凄い,凄いね。

アルバム◎
『ファンタスマゴリア』
OKANO

で,そのバックが,ずっとこの『ファンタスマゴリア』だった(笑)。
これしかなかったっていう。自分を破壊しながら,それでいて戦闘態勢だという人を初めて描きました。

ICHIKO

それって,でも究極ですよね。

OKANO

そう,正しい。

ICHIKO

佳境だとご本人みずからがおっしゃってるような時に,アルバムが間に合って良かった。嬉しいです。

Out Of Limit◎


Crash-Mete◎
OKANO

とくにこの一曲目『アウト・オブ・リミット』っていう曲があるじゃないですか。もう,破壊しているけれど,いい意味での浄化があるという。この曲ぐらいのパワーがなければ,あの回は描ききれなかった。
それと私個人的に『クラッシュ・メテ』がもうたまんないんですよ。私あれを聴いてると…もう,ぶつなり何なり好きにしてください…っていう気になる。一子さんの顔とか全部見えてきて,「もう,打ちのめしてやる!」っていう感じの(笑)。

ICHIKO

私,ああいうスタイルで思いっきり録音したのは初めてなんですよ。
今までライブではちょこっ,ちょこっと断片みたいなのはやったことがあるけど,最後まで全部出し切ったというのは初めてです。キモチイイ〜。
やってる時はもう,結構集中してるけど,あとで聴いたら何かエクソシストみたいな声出してた(笑)。

Benos Aires To Paris◎ OKANO

あとね,六曲目。(『組曲 ブエノスアイレスからパリへ』)犬はどうなった,犬は!って。

  ICHIKO

(笑)どうなったんでしょう。

  OKANO

あの曲,凄いね。

ICHIKO

あれ凄いよね。
実はあれは,あの曲を手がけたエンジニアの近藤さんも…凄いっ!
あの爆撃の音は,普通,エンジニアの人であそこまでやる人はいないと思うんですよ。 だいたいは普通「すいません,その爆撃の音,もうちょっと音量をあげてもらえます?」とこちらから言って,それで「えー?ん〜じゃあ,音,消えちゃいますよ」とか言われるのだけれども,近藤さんはこっちのほうが「こんなに音上げて大丈夫なんですか?」みたいな感じだった。
でも,ちゃんと全部の音が全部,明瞭に聞こえるでしょう。潜っちゃうわけでもなく,それは凄い技だった。

OKANO

うん。このアルバムの凄いところって,これを,実は私は部屋で大音響でかけているんですけれど,大音響でかけながらアシスタントに指定すると,指定の言葉がちゃんと彼らに聞こえる。凄い大きな音でかけているんだけど,声を大きくするわけでもなく,普通に喋って,ちゃんと指定ができて聞こえますね。

ICHIKO

あ,凄いね,それ。うるさくないんですね。素晴らしい。ずっとかけてたの?

OKANO

勿論,ずっとリピートしてましたよ。私,アシスタントにあげちゃったもん。「じゃあ,社員全員プレゼント〜」(笑)って。

ICHIKO

みんなこれ,聴かなきゃいけないんだ。(笑)体力あるね。


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