対談:橋本一子×岡野玲子


----『miles away』のようなジャズのアルバムを聴かせていただくと,躰がのびのび動いているっていう感じなんですけれども,『ファンタスマゴリア』は何か精神,マインドのほうがのびのび動いているっていう感じを受けました。
ICHIKO

なるほどね。
あれは音楽としてやってるんだけど,こちらはよくわかんないと思って(笑)

OKANO

いや,音楽,音楽だよ(笑)。

ICHIKO

ジャズはやっぱり枠があるじゃないですか。コードとかがあって。あれは,やっぱり伝統的なスタイルの上でやってる…だからある種,その芯のところは変らないんだけど,ただ,一定のスタイルにのっかってやってるか,それを全部関係ないって好きにやっているかっていうところで,自由度がやっぱりこっちの方が高い。「音楽」なんですけどね。

OKANO

いやー,陰陽師ファンには必ず聴いて欲しい「音楽」ですね,これは。
これは〜効きますよ,心の健康に(笑)。私,これはね,すごいバロメータになると思ってる。心身が健全で健康な人は聴ける。自分に病んでるところや弱いところがあると,途中でもうへたばっちゃって聴けないと思いますね。

ICHIKO

かもしれないね〜。

OKANO

もの凄い健康な人はこれ聞いても高揚するだけで,平気で聴けると思うんだけど,ちょっと弱いところとか,ちょっとどろっとした処がある人には,すっごい厳しいと思う。

ICHIKO

今健康じゃなくっても,可能性のある人にとっては,一回聴いて,げって凄い拒否感とかがあっても…これって凄い人を煽るタイプのものだと思うから…で,うあっと思っても,一回聴いちゃえば,煽られていける人はいけると思う。だから,いま健康じゃなくっても,煽りたいかなっていう人におすすめします(笑)。

OKANO

そうそうそう。相当これ聴けるようになったら,強くなりますよ。人間が。こんなに力強いアルバムはないね。

ICHIKO

私ってこんなにパワーあったんだって,出来上がってビックリしちゃった。

いや〜パワー持つって,いいことだよね,やっぱりね。それだけを目指して,生きているっていってもいいんだけどね。 何かね,強く,強く,どうせ強いんだけどね,それを自覚して強くあるっていうこと。もっと,もっと先に行きたいからね。それがないと先へいけないじゃないですか。
でももう,岡野さんなんかはばっちりどこまででもいけるっていう。すでにもうどこへでもいけるっていう感じ。

OKANO

もう私は佳境まで行きました。佳境までいったけどまだ先があるんだ,絶対。

ICHIKO

あるよ絶対。ありますね。
ずっと私はミレニアムミレニアムってみんなが騒いでたんだけど,ん?違うよな?って思ってたんですよ。見つめなければいけないのは,その次だよなって。
言葉でいっちゃうと21世紀だけど,そこまでは最悪なんじゃないかと思ってたんですよ。というかその時期に,やっちゃわないと,何か,清々しく次を迎えられない(笑)

OKANO

(笑)そうそうそうそう。もう清々しく次を迎えるために,今もう全部出す,みたいな。


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