飴色の玉を磨くような声(笑)。そう,水晶の珠を磨いているようなね。でもね,ミキサーの吉岡さんは「……解りました…。」ってやってくれる。凄く勘のいい方で,一生懸命やってくださって,ほんとうにその『譲れない大切なもの』が伝わるのが嬉しかったです。
逆に,一曲まるまる預けてしまって,マニュピレータの浦田さんのほうで好きなように曲全体を編集していただいて,思いがけない大変に面白い曲になったのは『青海波』ですよね。
『青海波』というのは『源氏物語』の中で光源氏と頭中将が舞うくだりのある雅で華やかで曲そのものもとても複雑に構成されたものなのです。詠は入れたいし,CDの収録にも制限があるので,思いきりアレンジしてしまうのが良いのではないかと,おまかせしてしまいました。
そしたら,CD全体の構成時に考えもしていなかった菅公の姿が出てきてしまったんですね。しかも尊厳のある霊として…。
とても凝ったアレンジがほどこされていて,曲の中にあるノイズはすべて録音時に録音されたものなんです。キシミ音も大太鼓のバチがどこかにあたって出たノイズをデフォルメしてますし,コーラスのような声もすべて詠をうたった芝祐靖先生の声なんです。
雅楽の可能性の一つをひらいた曲になったと思いますよ。素晴らしい。
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